2020年度の理事に新しく就任いたしました。1988年に医師になってから心臓血管外科医を志し、臨床・研究の日々を過ごしてきました。2011年から愛媛大学大学院心臓血管・呼吸器外科学教室を運営する機会を頂き現在に至っています。医学部・大学病院で仕事をするようになり教育の大切さ、人を育てる難しさを痛感しています。働き方改革が叫ばれる昨今、仕事・プライベート・研究・組織・学会のバランスを保ち、各個人を取り巻く医療社会で賢く生きる外科医が求められていると実感じています。これからは、多くの会員を抱える本会の発展と心臓血管外科医を志す若い医師のために少しでも力になれるよう全力を尽くして理事の職責を全うしたいと思います。
明るい心臓血管外科の未来のために、
○仕事が正しく評価される(処遇の改善)
○やりがいが実感できる(患者満足の向上)
○やさしい職場環境がある(チームの和とチーム医療)
○志し高く挑戦する(アカデミズム・プロフェッショナリズムの追求)、ことを目指し、未来ある外科医を支援いたします。
本会を築いてきた先人の思いと未来に託された期待を背負い、これからも皆様とともに歩んでいきたいと思います。会員の先生方のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
理事抱負
名古屋大学心臓外科の碓氷です。2018年2月に理事に選任頂きました。「男女共同参画WG」の委員長を拝命し、女性外科医が活躍できる労働環境の支援を行なっています。男女共同参画WGは森田茂樹先生が委員長を勤める「外科医師活動支援委員会」の下部組織です。昨今は「働き方改革」への対応が私たちの喫緊の課題となっています。第49回学術集会においては外科医師活動支援委員会と男女共同参画WGが合同して「働き方改革」セッションを開催しました。外科医師活動支援委員会が1月に行なった労働環境に関するアンケート調査では、75%が週60時間以上(年960時間相当)、28%が週80時間以上(年1860時間相当)の過酷な労働を行なっていました。5年以内に原則週60時間以内への労働時間制約が進められます。私たちは医療水準を落とすことなく、余裕ある労働環境を達成しなくてはなりません。外科医全体の労働環境の改善が女性外科医の活躍できる労働環境につながります。男女共同参画WGでは外科医師活動支援委員会と協働して、労働環境整備に取り組みます。
心臓血管外科学会ホームページ 挨拶文
歴史と伝統のある日本心臓血管外科学会の理事にご推薦していただき、このたび就任いたしました。重責に身が引き締まる思いであります。
日本心臓血管外科学会には研修医として兵庫県立姫路循環器病センター勤務中の1990年に入会し、心筋保護に関する臨床研究を初めて発表し私の学術活動を開始させていただきました。一生懸命に準備しずいぶん緊張し発表したことをつい先日のことのように思い出します。
近年学会のミッションは明文化され、チームワークを構築し質の高い医療を提供することが第一に掲げられています。いつも忘れてはいけないことは患者目線であり、その上で私自身がより質の高い医療を追及し続け、大変微力ではありますが学会に貢献できればと考えております。この度、学会の重要なミッションの一つである「次世代外科育成」推進部会 専門医制度委員、研修教育委員会におけるサマースクールWGの副委員長の任命を受けました。また学会誌編集委員も務めさせていただいております。次世代育成は極めて重要であることは言うまでもありませんが。先人が培われた偉業を伝え、さらにはその向こう側で勝負できる人材をひとりでも多く育成したいと思います。若手医師のモチベーションをあげるべく尽力したいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
神戸大学大学院医学研究科 外科学講座 心臓血管外科分野
浜松医科大学外科学第一講座の椎谷紀彦です。2018年度から理事に加えていただいております。現在は、専門医制度委員長(心臓血管外科専門医認定機構総務幹事を務めております)、サマースクールWG委員長、医療安全管理副委員長、学会誌編集委員、研修・教育委員、U-40運営委員、男女共同参画WG委員、優秀演題選考WG委員、財務委員を拝命しております。職責は、安全で良質な医療を継続的に提供するため、生涯教育と安全管理を基本に、次世代を担う優秀な心臓血管外科医の育成を通して社会に貢献することであると考えております。長期的な志望者減に対応するため、他の追随を許さない心臓血管外科ならではの魅力を伝えつつ、職環境の改善、ダイバーシティーへの対応にも貢献したいと思います。働き方改革を味方につけ、患者さんにも若手医師にも信頼して任せていただける学術・職能団体を目指し、微力ながら尽力したいと思います。宜しくお願い申し上げます。
日本心臓血管外科学会 理事就任にあたって
日本に戻り、5年目に入りました。米国に約8年在籍した私は、日米両方の臨床外科に接し、特に米国では教育される側だけではなく、教育する側の立場も経験いたしました。帰国した当初は多々とまどうこともありましたが、米国での経験をいかした教室運営の道筋を探り、現在は病院執行部としての職務も担当させていただいております。
帰国後より伝統ある本会の評議員として多くを学ばせていただいている身でありますが、このたび理事を拝命いたしました。また「男女共同参画WG」の委員長を務めさせて頂くことになりました。
本会では「働き方改革」の方針を受け、「外科医師活動支援委員会(碓氷委員長)」の傘下にて「チーム医療推進委員会(高木委員長)」と「働き方改革WG(碓氷委員長)」と連携して活動を行う予定です。合同委員会や、学術集会に際しての合同セッションの企画など、積極的に取り組んで参りたいと思います。
諸学会では医師の労働環境改善の一環として、女性医師支援が行われています。今回他の外科系学会の「男女参画」状況を調査させていただきましたが、まだ女性医師の比率は低いのが現状です。「男女参画」の活動を通して女性役員(理事、評議員等)の増加や、男性医師は勿論、女性医師も参画しやすい学会体制と処遇環境の構築に努めるべきと考えます。
心臓血管外科学に携わる先生方に益々ご活躍いただける学会を創り、盛り上げるべく努力する所存です。
諸先生方に御指導をいただきながら、一生懸命頑張って参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
九州大学大学院医学研究院循環器外科
みなさん、こんにちは!
慶應義塾大学の志水秀行と申します。
私は、日本心臓血管外科学会渉外委員会の委員長を務めていますので、ここでは、渉外委員会の活動内容の概要を紹介させて頂きます。
渉外委員会は、心臓血管外科学会が関連する諸学会との連携を深めることを主な仕事としており、具体的には、他学会との合同シンポジウムの企画や登壇者の推薦などを行っています。
日本心臓血管外科学会は、日本心臓麻酔学会、日本体外循環技術医学会(JaSECT)と連携し、CVSAP(Cardiovascular Surgery、Anesthesiology、Perfusion technology)という名称のシンポジウムを3学会の学術総会それぞれにおいて、すなわち年3回開催しています。各学会の開催時には毎回ミーティングが開催され、その中で年間の共通テーマを決め、企画が進められます。シンポジウムにおいては、心臓血管外科医、心臓血管麻酔医、体外循環技士がそれぞれの専門的立場から意見を出し合い、非常に深いディスカッションが行われ、とても有用なセッションとなっています。
最近では、CVSAP以外にも、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本心血管インターベンション学会(CVIT)、日本心臓リハビリテーション学会、日本外科感染症学会など多くの学会から合同シンポジウムのオファーが増えています。また、学会横断的なステートメントの作成などにも関与しています。
他の医療専門職との良好なチームワークの構築を基に心臓血管外科領域における質の高い医療の提供に貢献すること』は本学会の理念の最初に掲げられている目標であり、これを実践するために渉外委員会として、しっかりと活動を行う所存ですので、是非とも皆様のご協力、ご支援を宜しくお願い申し上げます。
引き続き医療安全管理委員会委員長を務めさせて頂きます埼玉医科大学の鈴木です。近年、患者安全に対する周囲の関心は高く、医療界に対して厳し目が向けられております。これに対し、医療の現場のみならず医療界全体で、患者安全を保証できる質の高い医療を提供すべく継続的な努力が必要であり、そのために学会が果たす役割は益々大きくなってきていると感じております。医療安全は医療の質向上と密接に関係しており、学会理念に基づき質の高い医療推進部会と協力して患者安全の文化を広く浸透させ、社会と学会員のために貢献できるよう努力していく所存でございますので宜しくお願いいたします。今後はCOVID 19あるいは未知の感染症によるパンデミックや大災害時の患者安全はもちろんの事、医療従事者の安全にも関わっていく必要がある事を感じております。また、2022年の第52回日本心臓血管外科学会学術総会会長を拝命しております。近づくに連れてその責任の重さを感じる度合いが高まっておりますが、コロナ禍により学会の形態も変化を余儀なくされております。緊急事態下における第50回と51回学術総会を経験し、学術総会のあり方、学会員にとって何が必要で大切な事なのか、アカデミックな面とそれ以外の面も含めて皆様方と考えて行ければと思っております。どうぞご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
本年度より、心臓血管外科学会の理事を拝命いたしました。歴史があり、activityの非常に高い心臓血管外科学会の理事として、私の心臓血管外科医としてのキャリアの最終段階を迎えることができて大変光栄に思います。理事会の皆さん、学会員の方、そして患者さんを含め医療にかかわる全ての方にお役に立てるように全力で頑張りたいと思っております。理事会より私に与えられた大きなmissionは、チーム医療推進委員会の委員長です。その中でも中心的な話題となるのは、中間職種の導入であると思います。医師の働き方改革が取りざたされるなか、心臓血管外科領域でも中間職種の必要性は十分わかっているにもかかわらず、特定看護師、診療看護師などのいわゆるNP(Nurse Practitioner)の導入はなかなか進んでいないのが現状です。ですから、私の今後すべきことはNPの方がそれぞれの病院や心臓血管外科により多く配置できるように工夫することと、欧米のように医師の指示下に手術室や病棟で働いていただけるPA(Physician Assistant)の創設に向かって活動していくことであると考えております。大変なミッションでありますが精一杯頑張りますので、皆様も何卒ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
藤田医科大学 心臓血管外科
広報・啓発委員会委員長、学会誌編集委員会副委員長を拝命しております。学会ホームページや学会誌を通じて、学会のミッションの達成を目指し、患者さん、次世代の心臓血管外科医、そして世界に向かって広報・啓発活動を行っていくのが本委員会の使命です。
一般の方々へは、学会の活動状況、心臓血管疾患や手術やその成績をわかりやすく伝え、心臓血管外科診療への理解の手助けを行っていきます。学生、若手医師など将来心臓血管外科医になることを考えている方々には、希望をもってこの分野に入ってきてもらえるように情報発信を行っていきたいと思います。将来心臓血管外科医として活躍してもらうためのロードマップ、実際の研修状況、若手心臓血管外科医の組織するU-40からの情報、若手会員への教育コンテンツの充実などを通し、本学会が若手の育成を第一に考えている組織であることをわかってもらえるよう努力したいと思います。また、海外へ向けて我が国の良好な心臓血管外科治療成績を発信し、日本の心臓血管外科の国際的地位向上をはかっていくことも大切な仕事であると考えています。
本学会の益々の発展のために努力をしていきたいと思いますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
千葉大学心臓血管外科 教授
大分大学心臓血管外科の宮本伸二です。まだまだ駆け出しと思っていたら気がつくと今年赤いちゃんちゃんこを着せられフレームに収まっていました。急患の多い心臓血管外科は究極の地域医療だ!と地域のため大学病院のためこれまで近視眼的に頑張ってきました。器の小さい自分にはそれが精いっぱいだったと思います。おかげ様でそれなりに頼れる後輩が育ち、できれば私には手術室に来てほしくない雰囲気を醸し出されるようになった今、名誉ある日本心臓血管外科学会の理事に就かせていただいてよかったと思っています。私はあれもこれもそれも同時進行できるキレものではないので現状であれば理事としての仕事にコミットできるのではないかと思うからです。いただいた役割は広報委員会副委員長と九州支部長です。以前より広報委員として松宮委員長のもと新しいHP作成に参画してきましたが、今後は更に本腰を入れて委員長をサポートし新しいコンテンツ作成にかかわっていきたいと思います。早速松宮委員長と学会特設YouTubeチャンネル開設、手術手技開設ページのリニューアルについて話し合っています。HPは何といってもコンテンツでしかもon going感がないといけないと思います。そのためには会員の方々のご協力が必要です。無理なお願いに加え、時にせつくこともあるかと思いますが何卒よろしくお願いします。支部長として重要なのはU-40の活動支援です。彼らの企画力、組織運営力は素晴らしいので自主性を重んじ邪魔をすることなく困ったら助けるスタンスでいきたいと思います。コロナ禍で今年(今後?)は大きくU-40活動形式も変わらなければいけないようです。なにもわからない新米支部長でもあり、彼らと一緒に頭を悩ましていこうと思います。
日本心臓血管外科学会理事就任にあたって
この度、日本心臓血管外科学会の理事を拝命致しましたが、会員の皆様へのご挨拶と自己紹介を兼ねまして拙文ながら筆を執らせていただきました。
私は北海道出身で昭和58年に旭川医科大学を卒業後、母校の外科学第一講座に入局致しました。外科初期研修と麻酔科研修のために道内の施設で3年間を過ごし、昭和61年5月より3年間、国立循環器病センター心臓血管外科でレジデントとして研修致しました。ここで小児心臓チームであった山本文雄先生(現秋田大学学長)と知り合い、リサーチの重要性を教えられ、厳しい臨床修練の傍ら「心筋虚血再灌流傷害における筋小胞体の関与」をテーマにして研究の指導を受け、平成元年12月より2年間、ロンドン(セント・トーマス病院レイン研究所Cardiovascular Research)に留学させていただきました。研究テーマは「未熟肥大心の虚血再灌流傷害とその保護」でありました。顕微鏡下での実験モデルの作成は難しくデータが出るようになるまで数か月を費やしましたが、結局、この成果は一流英文雑誌に受理され努力が報われました。平成3年12月に帰国後、母校の旭川医大第一外科にて医員、助手、講師と務めさせていただきましたが、平成12年夏に秋田大学心臓血管外科の教授になられていた山本文雄先生からお誘いを受け、平成13年1月に同講座に助教授として赴任致しました。以来、多くの臨床経験や人生経験を積ませていただき、平成26年5月に同講座教授を拝命致しました。
教授就任後の診療活動に関しましては、秋田県に多い大動脈解離や大動脈瘤などの大動脈疾患に加えて、弁疾患や冠動脈疾患の外科診療を行いつつ、前任教授よりの念願であった植込型補助人工心臓を始めました。臨床研究としては、日本一高齢化し広域過疎医療圏を有する秋田県において、僻地発症の緊急大動脈疾患患者をいかにして救命し術後QOLも高められるかに腐心しております。特記すべき学会活動としましては、前理事の福田幾夫先生と前理事長の上田裕一先生からのお声がけで、本学会発刊の「心筋保護標準テキストブック」の一部執筆と編集、さらに開心術中心筋保護の教育講演活動にも関わらせていただき、学会誌では編集委員長の新田 隆先生の元で編集活動にも携わり、大変多くのことを学ぶことができましたことを深く感謝致しております。今後は本学会の理事として粉骨砕身努力し、我が国の心臓血管外科医療の発展に責任を全う致したく存じます。
稿を終えるにあたり、この機会を与えてくださった理事長の横山 斉先生ならびに広報委員会委員長の松宮護郎先生に心より御礼申し上げますとともに、今まで支えてくださった会員の皆様に深く感謝申し上げます。
秋田大学大学院医学系研究科心臓血管外科学講座 教授
附属病院副病院長 医療安全管理責任者 手術部長
就任ご挨拶
この度、2020年2月より理事を拝命いたしました、富山大学第1外科 芳村直樹と申します。私は1987年に神戸大学医学部を卒業し、同年第2外科(中村和夫教授)に入局いたしました。1996年より兵庫県立こども病院心臓血管外科にて山口眞弘先生のご指導の下、小児心臓外科医として修練を積みました。ご縁があり、2005年4月から富山医科薬科大学第1外科にて小児心臓外科を担当することになり、その後2010年6月に三崎拓郎教授の後任として富山大学第1外科の教授職を拝命し、現在に至っております。全国的に外科医の不足が叫ばれる中、地方の現状は更に厳しいものがあります。「ひとりでも多くの外科医を育成し、北陸地方の外科医療を支えていくこと」を教室の理念として掲げ、外科医の育成に腐心しています。また、2018年より日本小児循環器学会次世代育成委員長を仰せつかり、「絶滅危惧種」と称される小児心臓外科医を絶滅させないよう、「次世代小児心臓外科医育成プロジェクト」に取り組んでまいりました。この度、日本心臓血管外科学会理事会の末席に加えていただくことができました。先輩理事の先生方の力をお借りして、次世代の心臓血管外科医の育成に力を注ぎたいと考えています。甚だ微力ではありますが、日本心臓血管外科学会の発展に少しでも貢献できれば幸いです。会員の先生方におかれましては、今後ともご指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。
富山大学第1外科
理事抱負
名古屋大学心臓外科の碓氷です。2018年2月に理事に選任頂きました。「男女共同参画WG」の委員長を拝命し、女性外科医が活躍できる労働環境の支援を行なっています。男女共同参画WGは森田茂樹先生が委員長を勤める「外科医師活動支援委員会」の下部組織です。昨今は「働き方改革」への対応が私たちの喫緊の課題となっています。第49回学術集会においては外科医師活動支援委員会と男女共同参画WGが合同して「働き方改革」セッションを開催しました。外科医師活動支援委員会が1月に行なった労働環境に関するアンケート調査では、75%が週60時間以上(年960時間相当)、28%が週80時間以上(年1860時間相当)の過酷な労働を行なっていました。5年以内に原則週60時間以内への労働時間制約が進められます。私たちは医療水準を落とすことなく、余裕ある労働環境を達成しなくてはなりません。外科医全体の労働環境の改善が女性外科医の活躍できる労働環境につながります。男女共同参画WGでは外科医師活動支援委員会と協働して、労働環境整備に取り組みます。
日本心臓血管外科学会理事抱負
私は日本心臓血管外科学会の中で数少ない一般外科・血管外科所属の外科医であり、また日本外科学会・血管外科学会理事でもあります。こうした背景を念頭に私が担当させていただいております国際会員認定ワーキンググループ(委員長)とOffJT委員会(副委員長)に限ることなく、心血理事として会員ならびに患者さんのために貢献したいと考えております。具体的には、基盤学会である外科学会、さらに血管外科学会との意見調整・意思統一、改善の余地が残されている本会会員の労働環境改善とインセンティブ導入による待遇改善、外科医不足に対する対応、ハイブリッド外科医の育成、散見されるインターベンショナリストによる必ずしも適切とは言えない診療の是正、麻酔科医関連の問題、さらなる学会の国際化、そして本会事務局機能と財政基盤強化などです。本会理事会は日本に数多くある理事会の中で最もストイックで患者第一と言う理念を真摯に捉えている理事会であると強く感じております。この理念と伝統に恥じぬよう、そして自分のバックグランドを忘れることなく理事の努めを果たしたいと心に誓っておりますので会員の皆さまにおかれましては叱咤激励のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
慈恵医大外科学講座・血管外科
変革期に入った心臓血管外科
心臓血管外科は新しい時代に入ったと言っても過言ではありません。すでにMVPの普及によってsimple MVRが姿を消しつつありましたが、これに加え、PCIの過剰適用によるCABGの減少、TAVRデバイス進歩によるSAVRの減少はさらにsimple caseの減少に拍車をかけています。今後はMitraClipを含む複数のMR治療デバイスが進歩するとMVPも脅かされる可能性があります。
その一方で、ステントグラフトの改良は、ハイリスク大動脈瘤の治療を可能とし、植込み型補助人工心臓の進歩はますます多くの重症心不全患者の長期生存を可能にしつつあります。内視鏡支援あるいはロボット支援手術は新たな治療手段として注目されています。この新たな心臓血管外科の潮流にどのように対処していくべきなのでしょうか。最近の新たな潮流に乗り遅れないようにするために、私は研修・教育委員長として、若手を中心とした次世代育成プログラムの推進を強力に推し進めていきたいと考えています。当学会には若手心臓血管外科医の教育・交流を目的としたU40が着実な活動を進めてくれています。やる気の漲るU40メンバーと協調しながら、次世代外科医教育を是非もと実践できればと思います。
チーム医療推進委員会と医療倫理委員会を担当しております、小林順二郎です。
チーム医療は、冠動脈インターベンションの治療方針から始まって、最近ではカテーテル大動脈弁植え込み術や、僧帽弁閉鎖不全に対するMitraClipの治療などの治療方針決定に重要な役割を持っています。また、働き方改革と相まって医師の負担軽減にもつながる重要な課題であり、委員長としてチーム医療推進を進めていきたいと考えています。特定行為の出来る看護師の導入も加速化しており、情報収集に努めて参ります。
医療倫理は、患者さんの安全確保に重要な問題を取り扱います。医療安全、感染、褥瘡、医療の質確、研究倫理など幅広い問題に対処していきたいと考えております。学会員の方々に少しでも貢献できればと思います。
主として、データベース・医療の質委員会を担当しております。医療の質とは、個人と公衆に提供される保健医療サービスが、個人や公衆が望む健康上のアウトカムをもたらす可能性を高め、かつ、プロフェッションが有する現在の専門的知見に合致する度合いのことを指し、適切な医療が適切な症例に適切なタイミングで行われているかどうかによって、そのレベルが問われるものと考えられています。医療の質の評価については、評価することそのものが目的ではなく、あくまでも質の評価は「医療の質向上のため」に行うものであります。そのためには客観的な指標により現状を把握する必要があり、また、現状が見えなければ、改善策は出てこないことになりますし、改善のための介入後の結果を評価できなければ、効果も測定できないということになります。従いまして、その土台となる客観的な指標としてデータベースの構築と適切な運用が必須となり、軸となる両輪として、データベースと医療の質が委員会名として併記されています。医療の質改善のための、Plan-Do-Check-ActのPDCAサイクルを回すために努力を重ねてゆきたいと考えておりますので、会員の皆様からのご協力をぜひお願いいたします。
専門医制度委員長、サマースクールWG委員長、医療安全管理副委員長、学会誌編集委員、研修教育委員、U-40運営委員、優秀演題選考WG委員、財務委員を拝命しています。
知識、技術、指導力を兼ね備えた次世代心臓血管外科医の育成を通じて、学会理念である“質の高い医療による社会貢献の達成”に微力ながらも貢献したいと思います。
働き方改革の真っただ中ですが、心臓血管外科という、やりがいが大きい仕事の魅力を伝え、志ある若者が安心して門戸を叩けるような働き方と専門教育制度を構築して行きたいと考えています。同時に、患者さんが安心して診療を受けられるように、安全管理と質の担保に貢献したいと思います。これは、専門教育制度の基盤となるものでもあります。
これらの活動を通して、professionalismを身に着けた質の高い医師を多数育成し、持続性・発展性のある安定した心臓血管外科医療の構築に貢献したいと思います。
日本心臓血管外科学会理事として、Off the job training(Off JT)推進委員会を担当しています。手術で大切なことは、手術のイメージ作りと地道な練習と思います。そのために、効率のよいtrainingができる環境作りを行っていきたいと思います。心臓血管外科専門医取得には30時間以上のOff JTが課せられています。Off JTには基礎実習(持針器操作)、模型・シミュレーター、ブタ心臓、アニマルラボ、cadaver trainingなど様々なレベルがあります。昨今ウェットラボ開催が増えていますが、持針器がうまく仕えないレベルでのウェットラボは不要です。また、勧誘目的のウェットラボ開催も本来の目的外です。限られたリソースを有効に利用し、各個人の技量に応じた内容を段階的にしていく仕組みを作っていきたいと思っています。
大阪市立大学 心臓血管外科
渉外委員会の委員長を拝命しております。
渉外委員会は、「日本心臓血管外科学会 学会理念」の中に掲げられている5項目の最初にある「他の医療専門職との良好なチームワークの構築を基に心臓血管外科領域における質の高い医療の提供に貢献します。」という理念を具現化するための委員会です。
具体的には、他学会との連携を推進することが主な仕事で、さまざまな関連学会の依頼に応じて、あるいは本学会から協力をお願いして、シンポジウムやアンケート調査を企画したり、演者の推薦を行うなど、さまざまな意見交換を行う窓口となっています。
中でも、日本心臓血管麻酔学会(JSCVA)、日本体外循環技術医学会(JaSECT)とともにCVSAPと称する合同シンポジウムを各学会で企画、開催(年3回)し、情報共有を行い、相互理解を深めています。
これからも、仲間の輪を広げ、また、仲間との絆を深めることによって、質の高い医療による人々の健康と福祉の増進に貢献し、患者さんとともに歩み続けたいと思っています。
医療安全管理委員会委員長を務めさせて頂いております埼玉医科大学の鈴木です。近年、患者安全に対する周囲の関心は高く、医療界に対して厳し目が向けられております。これに対し、医療の現場のみならず医療界全体で、患者安全を保証できる質の高い医療を提供すべく継続的な努力が必要であり、そのために学会が果たす役割も大きくなってきていると感じております。医療安全は医療の質向上と密接に関係しており、学会理念に基づいて質の高い医療推進部会と協力して患者安全の文化を広く浸透させ、社会と学会員のために貢献できるよう努力していく所存でございますので宜しくお願いいたします。また、2022年には第52回日本心臓血管外科学会学術総会会長を務めさせていただく事になりました。近づくに連れてその責任の重さを感じる度合いが高まっておりますが鋭意準備を進めさせて頂いております。どうぞご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
昭和56年に信州大学を卒業し、当時、冠動脈外科の第一人者でおられた順天堂大学の鈴木章夫教授に弟子入りし、心臓血管外科医を目指しました。二年間の外科研修を終え、心臓外科の研修を始めましたが、連日術後管理に明け暮れるばかりで、「本当に自分は心臓外科医になれるのだろうか?」と不安を抱きながら過ごした時代を思い出します。卒後38年の歳月を経て、現在は久留米の地で毎日若い先生方と共に臨床・研究に勤しんでいます。
最近の心臓血管外科医を取り巻く環境は、外科医志望者不足、働き方改革への対応、処遇改善問題、若手外科医の育成システム、など様々な重要な課題を抱えています。これらの課題を解決するためには、心臓血管外科医全員が共通の認識を共有し、我々の現状と立場、そして、様々な改革の必要性を社会・行政に訴えていくことが重要です。そのまとめ役としての学会の役割は極めて重要であると考えています。学会理事の一人として、若手からベテランに至るすべての世代の心臓血管外科医が誇りを持ちながら充実した日々を過ごせるようよう、微力ではありますが努力させて戴きたいと考えています。
研究活動推進部会として、心臓血管外科学会雑誌の編集委員長を担当しています。本誌は症例報告や各種記事を中心とした邦文誌です。経験した貴重な症例を学術的な検討を加えて論文とすることは、心臓血管外科医の育成だけでなく自己研鑽のためにも大切です。また、他の外科医が経験した稀な症例や新しい工夫を知ることは、外科医としての見識や視野を広め、実地臨床だけでなく臨床研究の新しいアイデア創案にも役立ちます。症例報告に加えて、2018年からJCVSDのデータを基に本邦の心臓血管外科手術の現状とその解説を掲載し、さらに2019年からは、各領域における毎年の進歩と現状を掲載しています。これらの特集記事により、心臓血管外科の各領域の進歩と本邦の現状を客観的データに基づいて把握することができます。海外留学体験記と国際学会参加報告の掲載を開始しました。若手心臓血管外科医が海外留学する際の必要となる情報の提供とともに海外一流学会での発表を目指す一助になればと願っています。U-40の企画として、現在「Surgical Skill Sharing-今更聞けない心臓血管外科基本手技」を掲載していますが、今後も、若手に限らず多くの心臓血管外科医の役に立つ新しい企画を掲載していきます。
心臓血管外科は激動の時代を迎えています。黎明期から行われてきた大きな創での侵襲の大きな手術に替わり、小切開創で、鏡視下さらにはロボット支援下で、低侵襲の心臓血管外科治療が行われています。治療手段も、従来の切開、切除、縫合といった基本的外科手技による吻合や置換や再建に加えて、カテーテルや再生医療などと組み合わせた治療手段が重要であり、次世代の心臓血管外科治療を創設していかなければいけません。若手心臓血管外科医にこのような発想と意欲を駆り立て、研究と実践する機会を提供することが、心臓血管外科学会理事の重要な務めと考えています。
心臓血管外科HP―挨拶
山口大学の濱野です。2018年4月から日本心臓血管外科学会の理事を拝命し、また、臨床研究推進委員会の委員長を拝命いたしました。臨床研究推進委員会の仕事は、忙しい心臓血管外科医に、臨床研究を啓蒙し、種々の有意義な臨床研究を支援あるいは遂行するというものです。あまりに大きな使命で、どのようにすればよいか、手探りの状態であります。具体的には、いくつかの仕事がありますが、メインは、臨床研究推進助成基金に寄付をお願いし、その財源を利用して臨床研究を公募、選考し研究費を助成して、臨床研究を推進することです。出来る限り応募しやすく、また運用しやすいようにデータベース機構と協調していきたいと思っています。本委員会の支援する臨床研究によってガイドラインを書き換えたり、保険収載の原動力となるようなエビデンスを出していきたいと考えています。ご意見やご助言があれば、是非お願いしたく、よろしくお願いいたします。
山口大学大学院器官病態外科学
本年度からU-40運営委員会委員長を仰せつかりました弘前大学の福田幾夫です。昨年度までは東北支部長としてU-40東北BLCのお手伝いをさせていただいておりましたが、本年度からは全体の調整にも関わっております。U-40は患者さん、医療スタッフ、心臓血管外科医の3つの笑顔を実現し、心臓血管外科学会の将来を担う若手心臓血管外科医の知識と技術の進歩をサポートするために、上田裕一前理事長の御発案で結成されたものです。U-40では様々な活動を行なっています。各支部のBasic Lecture Courseは本学会の地方会としての位置付けになっています。その他にも若手心臓血管外科医を対象にした学術総会での特別企画、若手を対象にしたアンケート調査など、U-40の幹事の皆さんが忙しい臨床の合間を使って、実施してくれています。私たちの若い頃はこのような若手の交流がほとんどありませんでしたが、U-40によって若手の意見を生かしてゆく機会ができたのはとてもうらやましい事です。すでに5年が経過したU-40の活動が軌道に乗って発展してゆくためには、次の世代に情報を伝達してゆくことも重要なことだと考えています。また、BLCの実施もU-40のメンバーに負担にならないように支援するシステムを作ることが重要であり、現在理事会で検討中です。皆さんの意見を聞きながらU-40の発展のために努力したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
弘前大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学
広報・啓発委員会委員長、学会誌編集委員会副委員長を拝命しております。学会ホームページや学会誌を通じて、学会のミッションの達成を目指し、患者さん、次世代の心臓血管外科医、そして世界に向かって広報・啓発活動を行っていくのが本委員会の使命です。
一般の方々へは、学会の活動状況、心臓血管疾患や手術やその成績をわかりやすく伝え、心臓血管外科診療への理解の手助けを行っていきます。学生、若手医師など将来心臓血管外科医になることを考えている方々には、希望をもってこの分野に入ってきてもらえるように情報発信を行っていきたいと思います。将来心臓血管外科医として活躍してもらうためのロードマップ、実際の研修状況、若手心臓血管外科医の組織するU-40からの情報、若手会員への教育コンテンツの充実などを通し、本学会が若手の育成を第一に考えている組織であることをわかってもらえるよう努力したいと思います。また、海外へ向けて我が国の良好な心臓血管外科治療成績を発信し、日本の心臓血管外科の国際的地位向上をはかっていくことも大切な仕事であると考えています。
本学会の益々の発展のために努力をしていきたいと思いますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
千葉大学心臓血管外科 教授
日本心臓血管外科学会HPあいさつ
平成28年より理事となり、医療倫理委員会の委員長を担当していました。平成30年からは財務委員会と規約改定委員会の委員長となり、安定基盤整備部の部会長を務めています。私が本学会のために初めて尽力したのは、平成26年6月12日付で公開された「心臓血管外科ライブ手術ガイドライン改訂版」の作成にあたり委員長を任され実際に文章を作成したことです。多くの先生方のアドバイスをもらいながら苦労したことを覚えています。当時、私はまだ理事ではなく単なる評議員だったので何故このような大役を任されたのか分かりません。その後理事に加えていただき、平成30年3月で兵庫医科大学心臓血管外科教授を退任し、現在は国家公務員共済組合連合会大手前病院の病院長です。大手前病院に移ってからは、臨床とは距離を置き管理職の勉強中です。管理職をやりながら時々は手術に参加し、若手の育成を続けたいと思っています。令和2年に理事を終了しますが、それまで学会の発展のため精一杯頑張ります。
日本心臓血管外科学会理事ホームページメッセージ
心臓血管外科医の先生方にとってより働きやすい環境を作るために外科医師活動支援委員会の担当理事として尽力いたします。医学部の学生諸君や若い医師の皆さんが心臓血管外科医を目指そうと思ってもらえるような活動をすすめたいと考えています。ご協力よろしくお願いします。
日本心臓血管外科学会理事としての抱負
今日多くの医師、特に若手医師がQOLを重視する時代になっているにも関わらず、制度の対応が追い付いていない現状があります。労働負荷が過大な診療科が回避され、学位より専門医取得を優先するトレンドもあり、加えて地域偏在の改善を目指した初期臨床研修制度や専門医制度における修練医の定数には、シーリングを設ける方向に向かっています。外科医を目指す若手医師が減少傾向にあり、心臓血管外科医を目指す若手医師は更に少なく、現在の医療体制を維持していくには、魅力ある心臓血管外科医であり続ける必要があります。
1982年に東邦大学を卒業後、心臓血管外科医として経験を積み重ねてきましたが、今後は理事として、心臓血管外科の将来を担う医師達を支え、医療環境を整える役割を担っていきたいと考えています。
東邦大学医学部外科学講座心臓血管外科学分野 主任教授
東邦大学医学部長