レポート

2019年度第5回中国四国支部BLC報告

2019年11月23日(土曜)に開催されました、第5回U-40中国四国支部Basic Lecture Course(BLC)の報告をさせていただきます。
 これまでの中国四国支部BLCは、第1-3回は岡山大学附属病院(中国四国全地域から最も交通の良い県)で行いました。しかし、我々中国四国支部幹事はもとより自分たちの特色を出したい、横のつながりを深めることのできるBLCを楽しみたいという思いが強かったため、昨年の第4回から地域の特色を生かすため、各地域の幹事が持ち回りで行うという方針に転換しました。昨年の第4回は徳島大学医学部キャンパスで行うこととなり、地方開催となると参加者が十分集まるか懸念されたのですが、定員上限に達する大盛況でありました。また徳島の文化や食も楽しめることができ非常によい思い出となりました。それをうけて今年は我が地元、鳥取県米子市で開催する決意をし、一年かけて準備を行ってまいりました。
 鳥取県米子市には大学病院の近くに皆生温泉があり、秋~冬にかけては松葉ガニが旬となります。今年は松葉ガニが解禁となる11月の開催とし、そして全国でも初となる温泉地での開催(皆生温泉)、BLC会場は皆生温泉に併設されている公共施設(米子市観光センター)で行いました。
 申込は大変盛況で定員の40人をはるかに超え、足切りを行わなければならないほどでした。参加者は地元鳥取大学関連が1/5程度、次に岡山・広島の割合がおおく、山口・愛媛・高知・香川など遠方からも万遍なく参加していただけました。学年は卒後3-5年目の先生が約半数、研修医の先生も6人参加していただき、例年よりも若手の先生が多かったのがこれまでの開催との違いでした。
 もしも季節はずれの雪が降ろうものなら、中国山地付近の高速道路で冬タイヤ規制がかかるため、開催に影響が出てしまいます。そのため天気予報をどきどきしながら見ていましたが、11/23当日は全くその兆候もなく、すばらしい快晴でありました。
 参加者は1人のみキャンセルがあり39名の参加でした。インストラクターは中国四国各地から、21名の講師陣に遠方にも関わらず予定通りお集まりいただけました。また鳥取大学から心臓血管外科を志す(可能性のある?)学生が3人見学にきていただき、人工心肺シミュレータの補助や心臓手術・解剖の研鑽のため鳥取大学医学部附属病院ME部から4人が有志で参加、我々中国四国支部幹事10人に田中千陽代表を含め、総勢78名の大所帯でありました。非常に熱気・活力に溢れ大変盛況な会となりました。
 まずは正午より座学セクションを開始しました。中国四国支部の今年度のテーマは「体外循環」で、第1部のKey note lectureは、鳥取大学心臓血管外科教授 西村元延教授にご講演頂きました。体外循環の歴史・基礎から、体外循環の現状・実際まで詳しく教えていただきました。特に、40歳以下の若手は人工心肺をドクターが扱わなくなった世代であり、そんな今日における最低限これだけは知っておいて欲しい事項、でないとトラブルに対処できないといった非常に実用的でためになるご講演でした。
 座学第2部は「高度Melperfusionを伴う急性A型大動脈解離」症例について提示し、SMA虚血・下肢虚血に対する対策を含めた治療戦略について、また、送血部位や体外循環法についてグループディスカッションを行いました。施設毎に方針が異なることや、特に注意すべき点はどこかについて参加者は実感いただけたのではないかと思いました。たくさんの意見が出て盛り上がったディスカッションでした。
 エドワーズ株式会社によるランチョンセミナーの後、会場を移動しハンズオンを開始しました。講師として、
(五十音順)
高松赤十字病院心臓血管外科副部長 幾野毅先生、近森病院心臓血管外科部長 池淵正彦先生、浜田医療センター心臓血管外科 院長 石黒真吾先生、島根県立中央病院心臓血管外科部長 上平聡先生、愛媛大学病院心臓血管外科助教 太田教隆 先生、島根大学病院心臓血管外科教授 織田禎二先生、四国中央病院心臓血管外科院長 北川哲也先生、松江赤十字病院心臓血管外科部長 斎藤雄平先生、徳島大学病院心臓血管外科助教 菅野幹雄先生、愛媛大学病院心臓血管外科助教 杉浦純也先生、広島大学病院第一外科教授 高橋信也先生、心臓病センター榊原病院心臓血管外科部長 田村健太郎先生、鳥取大学病院心臓血管外科准教授 中村嘉伸先生、鳥取大学病院心臓血管外科教授 西村元延先生、島根県立中央病院心臓血管外科医長 花田智樹先生、山口大学病院心臓血管外科教授 濱野公一先生、広島市民病院心臓血管外科主任部長 久持邦和先生、岡山大学病院心臓血管外科助教 廣田真規先生、香川大学病院心臓血管外科教授 堀井泰浩先生、鳥取県立中央病院心臓血管外科統括部長 宮坂成人先生、山陰労災病院心臓血管外科部長 森本啓介先生
にご協力頂きました。
 手技内容は、人工心肺カニュレーション、大動脈弁及び僧房弁置換・弁形成、三尖弁形成、冠動脈バイパスを行いました。今年は若手の先生の参加者が多く、人工心肺カニュレーション&ポンプ操作、AVRを選択される先生が多かったです。
 そして、Advanced Lecture Course(ALC)予選会として冠動脈バイパスのコンテストを行いました。今年は12人に参加していただきました。講師陣にみられ緊張しながら冠動脈バイパスを行うという貴重な体験ができて皆さん満足そうでした。今年度の優勝者は愛媛大学医学部附属病院の浪口謙治先生でした。各講師の方々から参加者に対し講評をいただき、中国四国支部代表の衛藤より支部幹事(衛藤、岸本、蔵澄、荒瀬)の引退・新任幹事(藤田・衣笠・井上・掘江)の紹介を行い、四国中央病院心臓血管外科院長 北川哲也先生の閉会の辞をもちましてBLCは終了となりました。
 終了後は、いよいよ今回の目玉である温泉と松葉ガニです。懇親会には今年はなんと51名(約7割)の参加がありました。懇親会開始までにまず皆生温泉につかり、BLCの疲れを癒し、その後かにすき・鳥取和牛のしゃぶしゃぶのコースを参加者・講師とも堪能致しました。また参加者・幹事の大半は雑魚寝スタイルで皆生温泉の某旅館での宿泊を行い、その一室にて二次会を行ないました。夜遅くなっても大変盛況であり、中国四国地方の若手医師の活気や熱さに感動しました。BLCは技術・知識の習得の場としてだけでなく、心臓血管外科医の縦・横のつながりを深めるということにおいても素晴らしい機会だと思っています。今回地方・温泉地で開催することで準備が大変ではありましたが、交流の場としても特に素晴らしい機会となったことを嬉しく感じています。以上で活動報告とさせていただきます。
(文責:U-40中国四国支部 鳥取県幹事 岸本祐一郎)

座学 鳥取大学心臓血管外科西村元延教授ご講演
座学 鳥取大学心臓血管外科西村元延教授ご講演
座学 グループディスカッション
座学 グループディスカッション
座学 グループディスカッション
ハンズオン
ハンズオン
ハンズオン
全体写真
全体写真
U40中国四国支部幹事、四国中央病院北川院長、鳥取大学西村教授、U40田中代表と
U40中国四国支部幹事、四国中央病院北川院長、鳥取大学西村教授、U40田中代表と
懇親会 松葉ガニと鳥取和牛
懇親会 松葉ガニと鳥取和牛
2次会 旅館の一室で延々と続く懇親会
2次会 旅館の一室で延々と続く懇親会