インターガード人工血管からの血液漏出についての経緯
2011年の幕張で開催されました第41回日本心臓血管外科学会学術総会の評議員会で,「インターガード人工血管からの異常な血液漏出を経験したが,手術の安全管理との関連もあり,学会としての対応を要望したい」との意見が出ました。また,複数の会員からの情報でも類似の事象が存在していることが判明しました。そこで,各施設および会員による個々の対応ではなく,日本心臓血管外科学会として,製造元のMAQUETに説明を求めるとともに,この件に関するワーキンググループを設けて,実態の把握に努めました。
本学会が把握できた事実からは,ある時点を境に血液漏出の頻度が明らかに増加したことは明らかであり,その資料を元にMAQUETに改めて説明を求めましたが,「調査した限りでは製造過程には問題はなく,術中のハンドリングや患者の要因など個別の原因があるのではないか」との一点張りでした。1年後には,「これだけの事実を学会が把握しているにもかかわらず,製造過程には問題ないとは無責任に過ぎる,科学的に検証し,説明責任を果たすべきである」と学会は申し入れ,我々は厳しい態度は崩しませんでした。
2年を経てようやく, MAQUET担当者の人心一新によって,本格的に実証実験も行われました。コーティング工程を手動から自動に変換した際にシールド効果の分布は安定化した一方で,不良コーティングが存在する事実が判明し,今回,最終報告書が届きました。このように本学会からの申し入れに対するMAQUETのこれまでの対応には大きな問題があるのは明らかであり,人命にかかわる医療材料を提供しているメーカーとしての資質に疑問を抱かざるを得ません。ともあれ,この報告書を評議員はじめ会員の皆様に周知すべきであると考えましたので,ご一読戴きたく存じます。
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
医療安全管理委員長 安達 秀雄
理事長 上田 裕一